私は2022年に家族性地中海熱(FMF)という病気を発症してから、「予定の立て方」が大きく変わりました。
- 来週、友人と食事の約束をする
- 来月、歯医者の予約をする
- 2ヶ月後、大型連休の旅行の計画を立てる
など、それまでは当たり前のようにやっていたことに、「でも、もし発作がきたら?」という懸念が付きまとうようになったのです。
発作が起きると、高熱や倦怠感、関節痛や胸痛などで丸一日どころか2〜3日は動けなくなります。しかも、いつ来るかはわからない。前日まで元気でも、翌朝に39度を超えることがある。
最初のうちは、その「読めなさ」がとにかくストレスでした。
でも今は、「当日になってみないとわからない」を前提に予定を組むことで、かなり気持ちが楽になっています。
この記事では、私が実際にやっている予定の立て方や工夫をまとめてみました。
同じような悩みを抱えている方の参考になれば嬉しいです。

記事の内容
この記事の内容をまとめると、以下のようになります。
- 旅行はキャンセルしやすいプランを優先して選ぶ
- 「行けなかった場合のプランB」をセットで考えておく
- 相手がいる予定は、予め「もしかしたら来られないかも」を伝えておく
- 定期的に通う場所は、最初に事情を共有しておく
- ひとりで完結する外出は、日付を決めずにリストにしておく
- スケジュールに「余白」を意識して作っておく
それでは、まずは「家族性地中海熱(FMF)患者は予定を立てにくい」という問題についてです。
FMFと「予定」の相性が悪すぎる問題
FMFの発作は人によって頻度や前兆の有無が異なりますが、私の場合は明確な前兆を感じることはまれで、突然来ることがほとんどです。
朝起きて「なんとなく今日は体が重いな」という感覚があっても、それが発作の前兆なのか疲れなのかはしばらく過ごしてみないとわからないことも多く、予定をキャンセルするかどうかの判断がとても難しいと感じています。
しかも、それが発作だった場合は症状が数日間続くため、「明日こそは」と思っていてもしばらくは本調子に戻りません。
一方で、何も予定を組まずに暮らすのも現実的ではありません。歯医者や美容院の予約は数ヶ月前には取らないと埋まってしまいますし、たまには遠出をしたり、旅行にも行きたい。
また、私の定期通院のスケジュールは「診察時、次回(2ヶ月後)の予約を取ってから帰る」という流れになっています。
この「読めない体調」と「社会的な約束」のあいだで、うまくやっていくための工夫が必要でした。
工夫その1|旅行は「行けなかった場合」まで計画に入れておく
旅行の計画を立てるとき、まず頭をよぎるのが「もし当日、発作で行けなくなったら?」という不安です。
でも、そこで旅行を諦めるのではなく、「行けなかった場合」も最初から計画のうちに入れてしまうことにしました。
キャンセルリスクをなるべく下げておく
宿泊や交通手段を予約するとき、できるだけキャンセル料がかからない(もしくは負担が軽い)プランを選ぶようにしています。
直前キャンセルでも無料のホテルや、変更・キャンセルが柔軟にできるチケットの種類などを優先して探します。
金額的には少し高くなることもあるかもしれませんが、「もしものときの安心料」だと思えば納得して割り切れるのではないでしょうか。
「プランB(代替案)」をセットで用意しておく
旅行の計画を立てるときは、「もし行けなかったら、その日は○○をしよう」という代替案も一緒に考えておきます。
「行けたら最高。でも、もし行けなかったら、そのときは積んでいた本を読んで、好きなものを食べて、好きなだけ寝よう」
最初からそう決めておくと、当日に体調が崩れても「残念、じゃあプランBでいこう」と気持ちの切り替えがしやすくなりますし、どちらに転んだとしても落ち着いて着地できるようになります。
工夫その2|相手がいる予定は、先に事情を説明しておく
事前に約束が必要な友人との予定や、歯医者・美容院などの予約が必要な場面では、少し工夫が必要です。
以前の私は「絶対に予定を飛ばしてはいけない」と強く思っていて、それがとてもプレッシャーでした。でも、どんなに頑張っても発作は自分ではコントロールできません。
今は、あらかじめ事情を説明するようにしています。
具体的な伝え方の例
完璧な文章でなくていいので、こんなふうに伝えておくだけで気が楽になります。
友人・知人への伝え方

最近、病気の影響で体調が読みにくくて……。もし当日に具合が悪くなってしまったらごめんね。その場合はすぐに連絡するから、日を改めてもらえると助かります。
お店など予約が必要な場所への伝え方

持病があって、急に体調が変わることがあります。どうしても来られなくなってしまった場合は、できるだけ早くご連絡します。ご迷惑をおかけするかもしれませんが、ご理解いただけますと幸いです。
最初にひとこと伝えておくだけで、急にキャンセルや変更をお願いするときの心理的なハードルがかなり下がります。
「そのときは仕方ない」と自分で受け入れやすくなりますし、相手にとっても「事情は知っていた」ことになるので、急なお願いへの理解を得やすくなります。
少なくとも、「予定(予約)忘れていただけなのでは?」「仮病なのでは?」などと疑われてしまうことは避けられるでしょう。
定期的に通う場所の場合
定期的に何度も通うことになる場所、例えば歯医者や美容院、習い事などは、最初の受診・来店のときに事情を伝えておくことが重要です。
「こういう病気があって、月に一度くらい突然高熱が出ることがあります。もし予約日に体調が悪化したら、早めにご連絡します」と伝えておくと、スタッフの方が状況を把握してくれるので、急な変更でも「大丈夫ですよ」と言っていただきやすくなります。
一度きりで終わる場所より、継続的に関わる場所ほど、最初の一言が後々効いてきます。
工夫その3|ひとりで完結する外出は、日付を決めない
相手がいない、自分だけで完結する外出や用事については、もっとゆるく考えることにしました。
「○○を買いに行こう」
「○○の展示を見に行こう」
「あの映画を見たい」
こういう予定は、日付を固定しないことがほとんどです。
「やりたいことリスト」は日付なしで持っておく
やってみたいこと、行ってみたい場所、買いたいものなど、そういったリストは常にメモアプリに入れておきます。ただし、「いつ行く」とは決めません。
体調が良くて時間にも余裕がある日に、リストを眺めて、そのまま出かける。計画がないから、崩れようがないのです。
前々から行こうと思っていたのに、ずっと楽しみにしていたのに、発作で行けなくなってしまったら落ち込んでしまいますよね。
しかし、順序を体調→予定に変えるだけで、この気持ちを防ぐことができます。
「今日は体調がいいな」→「じゃあ前から行きたかったあの場所に行こう」
最初から期待せずにこのくらい気楽なスタンスでいると、余計なストレスがありません。
発作で何もできない日もありますが、「今日はできなかったけど、また体調が良い日にしよう」と思えるのは、最初から「絶対の予定」として入れていないからだと思います。
やりたいことは、基本的には逃げません。
体調がいい日を、前より大切に使うようになった
以前は「今日は何をしようかな」と考えながら、結局何も決めないまま一日が終わることもありました。
来週も、来月も、やりたいことをやる時間はある。どこかでそう思っていたのだと思います。
しかし病気をしてからは、これまで当たり前だと思っていた「体調が良い日」を大切に使うようになりました。これはFMFと付き合うなかで生まれた、数少ない前向きな変化だと思っています。
「今日は体調が良い=何でもできる日だ!」と捉えるようになったことで、やりたかったことに挑戦したり、後回しにしていたことを片付けたりなど、「なんとなく過ぎていく、目的のない時間」は確実に減りました。
まとめ
どんなに工夫しても、発作は必ずやってきます。
「なんでこのタイミングで……」と思うことも、正直しょっちゅうあります。
ただ、工夫を重ねてきて気づいたのは、「ゆとりは自分で設計するしかない」ということです。
- スケジュールをぎっしり詰め込まない
- 最初から期待しすぎない
- 常にプランBを用意しておく
- 素直に事情を説明しておく
このように、物理的にも、そして精神的にもしっかりと準備をしておくことで、予定が崩れることが「想定外のこと」ではなくなりました。
どれも大げさな工夫ではありませんが、積み重なると「心のゆとり」がだいぶ変わってくると思います。
同じような悩みを抱えている方に、少しでも参考になれば嬉しいです。
発作を予測するツールや、発作の記録を簡単に作れるツールなども公開していますので、よろしければ一度使ってみてください↓



