難病の診断を受けた方が今後の生活を考えるとき、「難病患者ってローン組めるの?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
私自身も家族性地中海熱(FMF)という指定難病の当事者ですが、診断を受けた直後は将来のこと、特にお金に関して漠然とした不安を抱えていました。
しかし、「難病患者 ローン」などで検索しても断片的な体験談や噂ばかりが目につきますし、いかにも広告っぽいページも多く、結局どれを参考にしていいのか分からずに悩んでいる方もいると思います。
この記事では、FMFに限らず難病全般の当事者の方に向けて、住宅ローンを中心に「なぜローンが組みにくいと言われているのか」や「難病患者でも組めるローンはあるのか」について、金融機関の公式情報などをもとに整理しました。
※本記事は2026年9月時点での各金融機関・住宅金融支援機構の公式情報などをもとに執筆しています。実際の可否は個々の健康状態や金融機関の審査によって異なりますので、あくまで選択肢を知るための参考としてお読みください。
結論:この記事で分かること
この記事の内容を要約すると、以下のようになります。
- 住宅ローンが組みにくい主な原因は「団体信用生命保険(団信)」の健康告知にある
- 団信への加入が任意の「フラット35」なら、持病があっても住宅ローンを組める可能性がある
- 持病があっても入りやすい「ワイド団信」を扱う銀行がある
- 健康な配偶者を主債務者にする「収入合算」という方法もある
- マイカーローンや教育ローン、カードローンなどは、そもそも健康告知が不要なことがほとんど
それでは、一つずつ詳しく見ていきましょう。
なぜ「難病患者はローンが組みにくい」と言われるのか
まず整理しておきたいのが、「難病=全てのローンが組めない」と直結するわけではない、ということです。
ローンの審査は基本的に、年収や勤続年数、信用情報などをもとに行われ、病名そのものが審査項目になることはほとんどありません。
ただし例外が「住宅ローン」で、多くの金融機関では、住宅ローンを契約する際に団体信用生命保険(団信)への加入が実質的な必須条件となっています。
団体信用生命保険とは
団信とは、契約者が死亡または高度障害状態になった場合に、保険金でローン残高が完済される仕組みの保険です。
団信の契約者は住宅ローンを借りる個人ですが、保険金の受取人は金融機関になり、万が一のことがあった場合には保険会社から金融機関へ保険金が支払われます。
この団信に加入する際、直近の通院・投薬状況や過去の手術歴などを保険会社に告知する必要があり、難病で治療を継続している場合、この告知がネックになって加入を断られるケースがあるとされています。
つまり、「難病患者はローンが組めない」のではなく、「一般的な団信の審査基準に通りにくいことがある」ということです。
住宅ローンを組むための3つの現実的な選択肢
この団信の壁を越える方法がいくつかあります。
①フラット35|団体信用生命保険への加入は「任意」
住宅金融支援機構と民間金融機関が提携する全期間固定金利の住宅ローン「フラット35」は、他の住宅ローンと大きく異なる特徴があります。
それは、団信への加入が任意である点で、健康上の理由やその他の事情で団信に加入しない場合でもフラット35自体は利用できるとされています。
団信に加入しない場合、万が一のときにローン残高が保険金で完済される保障がなくなるため、別途生命保険などで備えておくといった対策が必要になります。また、団信に加入しない場合は本来の金利より0.2%程度低く借り入れできるため、その差額を保障の見直しに充てるという考え方もできます。
| 項目 | フラット35 | 民間金融機関の住宅ローン |
|---|---|---|
| 団信への加入 | 任意 | 実質必須のケースが多い |
| 加入しない場合 | 融資条件は変わらない | 融資自体が難しいことが多い |
| 金利 | 団信なしの場合は低め | 団信保険料相当額が金利に含まれることが多い |
②ワイド団信|持病があっても入りやすい団信
一般的な団信より加入基準を緩和した「ワイド団信」を扱う金融機関もあります。
ワイド団信は一般団信より保険料が上乗せされる分、金利が0.2〜0.3%程度高くなるのが一般的ですが、「持病があっても必ず入れる」というわけではなく、告知内容によっては加入を断られることもあります。
三菱UFJ銀行などのメガバンクや、千葉銀行・静岡銀行など多くの地方銀行でも取り扱いがあり、最近ではイオン銀行やPayPay銀行などのネット銀行でもワイド団信を取り扱っています。
取り扱いの有無や金利の上乗せ幅は金融機関ごとに異なるため、複数の金融機関で相談・比較してみるのも一つの方法です。
③収入合算・ペアローン|「健康な人」の力を借りる方法
住宅ローンで夫婦の収入を合わせる方法には、大きく分けて「収入合算」と「ペアローン」の2種類があります。
収入合算(連帯保証型)は、ローンの契約者(主債務者)を1人に絞り、もう一方は連帯保証人として収入を合算する方法です。団信への加入が必要なのは主債務者のみのため、健康な配偶者を主債務者にすれば、持病がある側は団信の審査を受けずに済みます。
一方のペアローンは、夫婦それぞれが別々のローン契約者となる方法で、原則としてそれぞれが個別に団信へ加入する必要があります。そのため、持病がある側は先述のワイド団信を利用するなど、状況にあわせて選択することになります。
なお、フラット35のペアローンでは、2本のローンそれぞれで団信への加入・不加入を選べるため、片方だけ団信に加入しないという組み方も可能とされています。
| 方式 | ローン契約者 | 団信の加入 |
|---|---|---|
| 収入合算(連帯保証型) | 主債務者1人 | 主債務者のみ加入 |
| ペアローン(民間銀行) | 夫婦それぞれ | 原則それぞれ加入が必要 |
| ペアローン(フラット35) | 夫婦それぞれ | それぞれ選択可能 |
マイカーローン・教育ローン・カードローンなどの場合
ここまで住宅ローンを中心に説明してきましたが、「難病患者 ローン」と検索する方の中には、自動車の購入や教育資金など、住宅ローン以外を想定している方も多いはずです。
結論から言うと、マイカーローンや教育ローン、フリーローン、カードローンといった商品の多くは、団信の加入自体が任意であるか、そもそも商品に組み込まれていないことがほとんどです。
審査は主に年収や勤続年数、信用情報をもとに行われるため、病名や健康状態を理由に断られる可能性は住宅ローンに比べて低いと考えられます。(※審査基準は金融機関ごとに異なります)
団信付きのプランを選べる教育ローンなどもありますが、その場合も任意加入であることが一般的です。
「持病があるから借りられない」と決めつける前に、まずは希望する金融機関の商品をチェックし、実際に問い合わせてみることをおすすめします。
申し込み前に押さえておきたい注意点
- 告知は正直に
健康状態を偽って団信に加入すると、告知義務違反として保険金が支払われない可能性があります。 - 事前審査で相談を
本申込み前に、持病がある旨を伝えたうえで事前審査や相談窓口を活用すると安心です。 - 専門家の視点も活用を
住宅ローンの制度は金融機関によって異なるため、ファイナンシャルプランナー(FP)など専門家に個別相談するのも一つの方法です。 - 団信なしのリスクも試算を
団信に加入しない、またはワイド団信で保険料が上乗せされる場合は、家計への影響を事前にシミュレーションしておくと安心です。
まとめ
「難病=ローンが組めない」というわけではなく、正確には「団信という壁をどう越えるか」の問題であり、持病があってもローンを組める選択肢があることがわかりました。
フラット35、ワイド団信、収入合算など、それぞれにメリットと注意点があるため、ご自身の病状や家族構成に合わせて検討してみてください。
難病と診断され、今後の生活設計に悩んでいる方の参考になれば幸いです。
参考文献
- 住宅金融支援機構「【フラット35】団体信用生命保険」https://www.flat35.com/danshin_menu/index.html
- 三菱UFJ銀行「ワイド団信(住宅ローン)」https://www.bk.mufg.jp/kariru/jutaku/kanren/widedanshin.html
- 三菱UFJ銀行「ペアローン・収入合算」https://www.bk.mufg.jp/kariru/jutaku/pairloan/index.html
- りそな銀行「ペアローン団信」https://www.resonabank.co.jp/kojin/jutaku/danshin/pair.html
- SBI新生銀行「団体信用生命保険とは?」https://www.sbishinseibank.co.jp/retail/housing/column/vol22.html


