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コルヒチンが効かないFMF患者はどのくらいいる?海外研究に見る抵抗性・不耐の実態と、私の実体験

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コルヒチンはFMF治療の中心となる薬ですが、「増やしても発作が続く」「副作用で増やせない」という悩みを抱える患者も一定数存在するとされています。

今回は、コルヒチンが効きにくいとされる患者がどのくらいの割合いるのか、海外の研究データをもとに整理しつつ、私自身が臨床調査個人票の「コルヒチン不耐」に該当している経験についても詳しく触れていきます。

海外の研究は主に地中海沿岸地域の患者を対象にしたものが多く、日本人患者の割合にそのまま当てはまる数字ではありませんが、それでも「効きにくい人は自分だけではない」ということを知る手がかりとして、参考にしていただければと思います。

※本記事は筆者の実体験と一般的な情報をもとに執筆したものです。症状や治療については医療機関にご相談ください。

結論:この記事で分かること

この記事の内容をまとめると、以下のようになります。

  • コルヒチンが効かない状態には、最大量でも発作が残る「無効」と、副作用で増量できない「不耐」がある
  • 海外の研究では、コルヒチンが効きにくい患者の割合は全体の2%から10%程度とされている
  • 効きにくさの背景には、服薬アドヒアランスなども関係するとされている
  • コルヒチンで十分にコントロールできない場合には、生物学的製剤の選択肢も検討される
  • 私自身も激しい副作用により増量できず、「不耐」と判断されている

それでは、ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

コルヒチンが「効かない」とはどういう状態か

コルヒチンはFMF患者の多くで発作抑制に有効とされており、9割以上の症例で奏効するとも報告されていますが、効果が不十分だったり、副作用のために十分な量を服用できないことがあります。

これらは一見似ているように感じますが、「無効」と「不耐」という異なる状態として区別されています。

「無効」と「不耐」の違い

私の臨床調査個人票の「重症度分類に関する事項」

日本の指定難病制度では、FMFの重症度分類において「コルヒチンが無効又は不耐であり、かつ発熱発作頻回例」であることが、臨床調査個人票の重症例の基準のひとつに定められています。

厚生労働省が示す基準では、具体的に次のように定義されています。

  • コルヒチン無効
    最大用量(上限2.0mg/日)まで増量しても発熱発作が年4回以上ある状態
  • コルヒチン不耐
    副作用(アレルギー反応または腹痛・嘔気・下痢などの消化器症状)のために増量できず、発熱発作が年4回以上ある状態
  • 発熱発作頻回例
    24時間以上の無発熱期間で区切られる発熱発作(CRP上昇を伴う38.0℃以上)が、年4回以上あること

原因は異なるものの、どちらも「コルヒチンで発作をコントロールできていない」という結果は共通しています。

海外の文献では「年6回以上の発作」や「最大耐用量で3ヵ月を超えて月1回以上の発作」など、日本とは異なる基準が使われていることも多く、国や制度によって「効かない」の線引きが一定ではないので注意が必要です。

海外の研究から見る「効かない人」の割合

次に、実際の研究データを見てみましょう。

トルコの専門家コンセンサス調査

FMFの患者数が多いトルコでは、専門医10名の合議に基づく試算として、患者全体のうち65%が良好な反応を示し、30%が部分反応、2〜5%が「コルヒチン抵抗性」に該当すると推定されています。

トルコの小児患者レジストリ(TURPAID)

0〜18歳のFMF患者3,445人を対象にした大規模な小児患者登録データベース(TURPAIDレジストリ)の解析では、256人(7.4%)がコルヒチン抵抗性と判定されました。

この研究では、発症年齢が低いこと、発作の頻度が高く長引くこと、MEFV遺伝子のexon10領域に重い変異(M694Vなど)をホモ接合体・複合ヘテロ接合体で持つことが、抵抗性と関連しやすい要因として報告されています。

フランスの調査に見る「服薬遵守」の影響

フランスで行われた調査では、コルヒチン抵抗性は全体の10%未満とされる一方で、抵抗性と判断された患者の中でも、指示通り毎日欠かさず服用できていた人は半数以下(42人中17人)にとどまっていたことが報告されています。

効果が出にくい背景には、遺伝子型だけでなく服薬状況も関係している可能性があるとされています。

調査対象効きにくいとされた割合ポイント
トルコ(専門家コンセンサス)専門医10名の合議抵抗性2〜5%完全奏効は全体の65%程度と推定
トルコ TURPAIDレジストリ0〜18歳の患者3,445人抵抗性7.4%(256人)発症年齢の低さ・重い遺伝子型と関連
フランス(専門医ネットワーク)抵抗性患者51人全体の10%未満と報告服薬遵守率も影響(42人中17人=40%が完全遵守)

また、副作用による「不耐」についての調査では、最適な用量で治療されていた患者のうち下痢が10.8%、肝機能の異常が5.9%にみられ、副作用のためにコルヒチンを完全に中止せざるを得なかった患者は全体の約2%だったと報告されています。

なぜ差が出るのか|原因とリスク要因

研究によって数字に幅がある背景には、コルヒチン抵抗性・不耐の定義が研究ごとに異なることや、対象とする患者層(専門施設に紹介された患者が多いか、一般的な患者集団か)が異なることなどが関係していると考えられます。

その上で、複数の研究に共通して指摘されている要因としては、次のようなものが挙げられます。

  • MEFV遺伝子のexon10領域における重い変異(特にホモ接合体・複合ヘテロ接合体)
  • 発症年齢が若いこと
  • 服薬アドヒアランス(薬の必要性をきちんと理解し、主体的に服用を継続できているか)
  • 消化器症状などの副作用により、必要量まで増量できないこと

これらはあくまで研究で報告されている「傾向」であり、必ずしも個々の(日本の)患者に当てはまるとは限りませんが、日本での研究はまだまだ少ないので参考になるかもしれません。

「効かない」と判断された場合の治療選択肢

コルヒチンで発作が十分に抑えられないと判断された場合、次の治療選択肢として、IL-1という炎症物質の働きを抑えるイラリス(カナキヌマブ)などの生物学的製剤の使用が検討されます。

添付文書によると、FMFでイラリスの対象となるのは次のようなケースとされています。

  • FMFと診断されている
  • コルヒチンによる適切な治療を行っても、発作や炎症所見(発熱・腹痛・関節痛・CRP高値など)が残る
  • 主治医が、コルヒチンだけでは効果不十分と判断した場合

費用が高額であることや感染症など副作用のリスクもあるため、主治医と相談しながら慎重に検討する必要があります。

イラリスについては、以前書いた「家族性地中海熱の第二の治療選択肢「イラリス」|対象となるケース・副作用のリスク・医療費まで」という記事で詳しくまとめていますので、あわせてご覧ください。

家族性地中海熱の第二の治療選択肢「イラリス」|対象となるケース・副作用のリスク・医療費まで
家族性地中海熱(FMF)の治療薬「イラリス(カナキヌマブ)」の効果、副作用、用量、薬価などをFMF当事者の目線で整理しました。コルヒチンで効果不十分な場合の次の一手として、臨床データや感染症リスク、指定難病の医療費助成による自己負担上限についても紹介します。

私自身の経験|2mg/日への増量と、現在の服用状況

私自身も「コルヒチンが無効又は不耐」という基準に該当している一人で、主治医の判断でコルヒチンの用量調整をしていた2023年には2mg/日(朝2錠、夜2錠)まで増量したことがあります。(※1錠=0.5mg)

これは前述の重症度分類でも上限とされている量ですが、増量した結果、激しい下痢と腹痛が続くようになり、日常生活を送ることが難しいレベルの副作用だったため、病院に電話で相談し、主治医の判断で継続を断念しました。

その後1.5mg/日(朝1・昼1・夜1錠)に減らしても副作用がひどかったため、最終的に1.0mg/日(朝1・夜1錠)まで減らし、現在もこの量で服用を続けています。

しかし、39度を超えるような高熱の頻度は服用前より減ったものの、発作自体が消失することはありませんでした。

これはまさに厚生労働省の基準にある「副作用のために増量できず、発作が残っている」という「コルヒチン不耐」の状態に当てはまります。

発作時以外はある程度普通に暮らせていて、定期検査でのSAAやCRPも基準値内で安定しているため、イラリスの使用はまだ考えていない状態です。ただ、今後症状が悪化してしまった場合にはコルヒチンの増量ができないため、イラリスの使用を検討することになりそうです。

おわりに

コルヒチンで発作が十分にコントロールできないと不安になってしまいますが、一定の割合でコルヒチンが効きにくい患者がいることは研究でも判明していることで、コルヒチン以外にもイラリスなどの治療選択肢もあります。

今回の内容が、同じように悩んでいる方にとって、主治医と治療方針を相談する際の参考になれば幸いです。

※本記事は筆者の実体験と一般的な情報をもとに執筆したものです。症状や治療については医療機関にご相談ください。

参考文献

kiroku

このブログでは、私が家族性地中海熱(FMF)と診断されるまでの経過や検査、医療費、難病申請の手順などについて、実体験を整理しながら情報をまとめています。
医療従事者ではなく難病当事者の記録として、同じように苦しんでいる方や、そのご家族の参考になれば幸いです。

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