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難病患者がマイナポータルを使うべき理由|実際に使って感じたメリットを難病当事者が詳しく解説します

難病患者がマイナポータルを使うべき理由|実際に使って感じたメリットを難病当事者が詳しく解説 - のアイキャッチ画像 療養の工夫・ノート

「マイナポータルって、何が見られるの?」

「難病患者にとって、利用する価値はあるの?」

マイナンバーカードを持っていても、マイナポータルをまだちゃんと使いこなせていない方は多いのではないでしょうか。

私は家族性地中海熱(FMF)という指定難病の当事者で、確定診断後に本格的にマイナポータルを使い始めましたが、実際に使ってみると「これは難病患者にこそ役立つ」と感じる機能がいくつもありました。

そこで今回は、「本当に使える機能」「これから使えるようになる機能」「使ってみた正直な感想」などを当事者目線でまとめました。

これから利用を検討されている方の参考になれば幸いです。

結論:この記事で分かること

この記事の内容をまとめると、以下のようになります。

  • 医療費・処方薬の履歴を過去5年分まとめて確認できる
  • 「医療費詳細」で10割総額・保険負担・公費負担の内訳まで把握できる
  • 誰が自分の情報を照会したかを確認でき、情報提供への同意の取り消しもできる
  • 確定申告の医療費控除手続きをスムーズにできる
  • 難病の受給者証がマイナカード1枚に統合される流れが加速している
  • 災害時にデジタル版お薬手帳として機能する

それでは、各項目について詳しく見ていきましょう。

マイナポータルとは?

マイナポータルは、デジタル庁が運営する政府の行政オンラインサービスです。

マイナンバーカードを使ってログインすることで、自分に関する行政情報や医療情報を確認したり、各種手続きをオンラインで行ったりすることができます。

2025年12月に紙の健康保険証が廃止され、マイナ保険証(マイナンバーカードを保険証として利用する仕組み)への移行が本格化したことで、マイナポータル上で確認できる医療情報の種類と精度は以前より大きく充実しています。

紙の健康保険証が廃止された後も、マイナンバーカードを持っていない方や利用登録していない方向けに「資格確認書」が発行される制度があります。マイナポータルをフル活用するには、マイナ保険証の利用登録が必要です。

利用に必要なもの

利用するには、以下の4つの準備が必要です。

項目内容
マイナンバーカード必須
マイナポータルアプリスマートフォンから利用する場合に必要
利用者登録初回のみ必要
マイナ保険証の利用登録医療情報の閲覧に必要

初期設定は少し手間がかかりますが、一度済ませてしまえば次からはログインするだけで利用できます。

それでは、マイナポータルでできることについて、順番に詳しく見ていきましょう。

① 医療費の記録をまとめて確認できる

マイナポータルでは、保険医療機関・保険薬局の窓口で支払った医療費の情報について、「いつ・どこで・いくら払ったか」を一覧で確認できます。

難病患者にとって、具体的なデータを手元で、そして好きなタイミングで確認できることは医療費管理の面でとても便利です。

閲覧できるデータは2021年9月以降の診療分で、過去5年分が対象とされています。
(※マイナポータルFAQより)

更新タイミングの注意点
情報の更新は毎月11日ごろで、前々月の診療分が反映されます。例えば、5月11日ごろに反映されるのは3月分ということです。リアルタイムの記録ツールとしては使えないため、「後から照合・振り返る用途」として活用するのがよいと思います。

「医療費詳細」で10割負担の総額まで分かる

医療費の一覧では窓口負担額だけでなく、「医療費詳細」という項目も確認できます。ここを開くと、以下のような内訳が表示されています。

項目内容
窓口負担額実際に自分が支払った金額
保険者の負担額健康保険(組合・協会けんぽなど)が負担した分
その他の公費の負担額難病の医療費助成など、公費で補われた分
医療費の総額いわゆる10割負担の金額(医療行為全体のコスト)

ここで、実際のマイナポータルのスクリーンショットを見てみましょう。

以下の画像は、2023年1月に私が支払った医療費の詳細です。

精密検査の費用(マイナポータル画面)
マイナポータルのスクリーンショット(医療費の詳細が確認できます)

このときはまだ家族性地中海熱(FMF)と診断される1年前で、発熱の原因を探すために造影CTなどの精密検査をしました。

金額の詳細を見てみると、

  • 実際に払った窓口負担額が21,717円
  • 日数:2日(発熱で受診した日+別日に精密検査をしたため)
  • 健康保険が負担した額が55,601円
  • その他の公費の負担額が2,112円
  • 医療費の総額が79,430円

となっています。

「10割だったら○○円かかるところを、健康保険や公費のおかげでここまで安くなっている」という事実が具体的な数字として見えるのは興味深いと思います。

FMF診断前なので「指定難病医療受給者証」の取得前ですが、「その他の公費」で2,112円が負担されています。これは、当時「新型コロナウイルス感染症」がまだ流行っていた時期(2類相当)で、発熱で受診すると最初に必ず受けることになっていた「PCR検査」の費用が公費負担となっていたためです。

助成制度の目安にも

医療費の総額は、難病の医療費助成における「軽症高額」「高額かつ長期」の認定要件を満たしているかどうかの目安にもなります。(自己負担の上限額を更に下げることができる仕組み)

これらの仕組みでは窓口負担額ではなく、医療費の総額をもとに判定されるため、マイナポータルで総額を確認しておくことが申請の参考になります。

※詳しくはこちらの記事(指定難病の医療費助成と高額療養費制度の違いは?)で解説しています。

確定申告(医療費控除)にも使える

医療費控除の申告をする場合、マイナポータルとe-Taxを連携させることで、医療費の情報を確定申告書に自動反映させることができます。

交通費の領収書など自動で反映されないものは手入力が必要ですが、病院や薬局などメインの支払いが自動で入るだけでも十分に利用価値があると思います。

e-Tax連携やPCでのマイナポータル利用には、このような「マイナカード対応のカードリーダー」があると便利ですよ。

医療費控除の計算には指定難病の助成後の自己負担額が基準となります。詳しく知りたい方は国税庁のサイトをご確認ください。

② 処方された薬の詳細が記録として残る

マイナポータルでは、処方された薬の情報について「いつ・どこで・何が・何錠処方されたか」などが詳しく記録されています。

以下の画像は、実際に私が2022年12月に処方された薬の情報です。

サワシリン・オーグメンチンの処方(マイナポータル画面)
マイナポータルのスクリーンショット(処方された薬の詳細が確認できます)

私が実際に使って良かったと思う場面は、「あの薬、いつから飲み始めたんだっけ?」と振り返るときや、同じ薬剤名でも「前回は何mgだったっけ?」と確認するときなどです。

また、このブログで発症当時のことを振り返って記事にする際にも大いに役立ちました。

通常の薬剤情報の更新も、医療費と同様に毎月11日ごろです。ただし、電子処方箋システムを導入している医療機関・薬局では、処方・調剤が行われた直後から情報が反映される場合もあるとされています。

民間のお薬手帳アプリとの連携もできる

マイナポータルの薬剤情報は、対応している民間のお薬手帳アプリ(EPARKお薬手帳やNOBORIなど)と連携してデータを取り込むことができます。

私自身は利用していませんが、普段お薬手帳アプリを使っている方にはマイナポータル経由でデータを自動取得できるのは便利な機能だと思いますので、お使いのアプリが連携に対応しているか確認してみてください。

③ いつ、どの医療機関が私の情報を照会したかが確認できる

次に、「マイナンバーカードの情報管理に不安を感じている人」にこそ知ってほしい機能を紹介します。

マイナポータルには「医療保険情報の提供履歴」というページがあり、「いつ、どの医療機関・薬局が自分の医療情報を照会したか」を確認することができます。

これは個人情報利用の透明性を担保するための機能で、「自分の情報が知らないところで使われていないか」を患者自身が確認できる仕組みになっています。

医療保険情報の提供履歴(マイナポータル画面)
実際の画面(私が処方箋を持って行った薬局が薬剤情報を照会したことが、日時まで表示されています)

また、「医療情報提供の同意設定」というページでは、現在どの医療機関に対して情報提供の同意をしているかを一覧で確認でき、必要であれば同意の取り消しも行うことができます。

医療情報提供の同意設定一覧(マイナポータル画面)
実際の画面(同意設定している医療機関の一覧が表示されます)

「同意した医療機関を再度確認したい」

「もう行くことがなさそうな医療機関への同意を外したい」

といった場合に使える機能です。

情報が共有されるのは受診時にカードリーダーで「同意する」を選択したときだけで、「同意しない」を選べば情報は共有されません。(※保険資格の確認は通常通り行われます)

④ 難病の受給者証のデジタル化が進んでいる(PMH)

現在、「PMH(Public Medical Hub)」という情報連携システムの整備が全国の自治体・医療機関で急速に進んでいます。

これは、マイナンバーカード1枚で指定難病の医療受給者証としても使えるようにするための仕組みです。

デジタル庁が主導して開発を進めていて、2026年4月時点では587自治体が参加しており、全622自治体への到達が見込まれています。

また、東京都・愛知県・兵庫県・宮城県など、複数の都道府県でも指定難病を対象とした先行運用がすでに始まっています。

このシステムが使える医療機関では、受診時にマイナンバーカードをカードリーダーにかざすだけで保険証と受給者証の両方の確認が同時に完了するため、紙の受給者証を別途持参する必要がなくなり、忘れた場合のトラブルなどもなくなります。

今はまだ過渡期ですが、これが完全に普及すれば、急な体調不良で救急搬送された際や、旅行先で受診が必要になった際に、手元に受給者証がなくても助成を受けられるようになるため、難病当事者にとっては大きなメリットといえます。

現時点では紙の受給者証の交付は引き続き行われており、対応している医療機関も拡大中です。なお、自己負担上限額管理票については電子化されておらず、引き続き紙での持参が必要とされています。利用可能な医療機関については、受診先に直接ご確認ください。

現在確認できる情報

医療機関での手続きとは別に、マイナポータルでは現在でも「受給者証の資格情報」「限度額の適用区分」などの情報を確認することができます。

受給者資格情報、限度額区分の表示(マイナポータル画面)
私の「限度額適用認定証」の画面

⑤ 災害時・緊急時の「最後の砦」になる

以前の防災記事でも少し触れましたが、難病患者にとって災害時のリスクのひとつに「薬が手に入らなくなること」があります。

マイナポータルには過去5年分の処方履歴が記録されているため、たとえ手元に薬もお薬手帳もない状況でも、スマホとマイナンバーカードさえあればアプリひとつで「自分がどんな薬を、どれくらいの量で飲んでいるか」を確認することができます。

さらに、避難先の医療機関や薬局でも、マイナ保険証を使って情報を共有することができます。これにより、初対面の医師でも「この人はコルヒチンを1日1mg服用しているFMF患者だ」ということを正確に把握した上で対応してもらえます。

デジタル庁の資料によれば、マイナポータルを活用して避難所で過去の診療・薬剤情報や特定健診等の情報を医師と共有できる体制の整備が進められており、実証事業も実施されています。(出典:デジタル庁「マイナンバーカードの健康保険証利用」)

カードがなくても使える場合がある
大規模災害時には、マイナンバーカードを持っていなくても医療情報にアクセスできる「災害時特例」が適用されることがあるとされています。ただし、特例の発動は災害の規模や行政判断によるため、平時から「カードをきちんと持ち歩く」「アプリに登録しておく」ことが基本の備えになります。

使ってみて感じた、マイナポータルのリアルな限界

便利な点が多い一方で、実際に私が使ってみて感じた「まだ完璧ではない」という点についてもお伝えしておきます。

・情報はリアルタイムに反映されない
前述のとおり、更新は毎月11日ごろで前々月分が対象です。直近の受診内容をすぐ確認したい用途には向きません。

・すべての医療機関の情報が揃うわけではない
マイナ保険証対応・電子請求対応の医療機関が対象のため、対応していない一部の医療機関の情報は反映されない場合があります。

・まだ一部地域でしか使えない機能が多い
マイナポータルを触っていると、「この機能は一部地域でのみ利用可能です」と表示される画面が多くあります。全ての機能が使えるようになるまでには、まだ時間がかかりそうです。

・スマートフォンやカードの操作に慣れが必要
初期設定にはマイナンバーカードの読み取りや暗証番号の入力が必要で、スマホ操作に慣れていない方の場合は少し時間がかかるかもしれません。


しかし、得られる情報や手続きの簡略化などのメリットを考えれば、利用する価値のほうが大きいと私は感じています。

まとめ

マイナポータルは、「医療記録をまとめて管理できる、国のサービス(インフラ)」です。

「情報を管理されるのが嫌だ」という気持ちはよく分かりますし、私もそう感じていた時期がありました。ただ、実際に使ってみると「自分の情報を自分で管理できるツール」でもあると感じています。

難病の受給者証まわりのデジタル化(PMH)も急速に進んでいて、しばらくすれば「マイナカード1枚で全部できる時代」が来そうです。

まだ設定していない方は、この機会にぜひ試してみてください。

本記事は執筆時(2026年5月)の情報および筆者の実体験をもとに執筆したものです。制度の内容や対応状況は変更される場合があります。症状や治療については医療機関に、制度の詳細は各行政窓口にご相談ください。


参考文献

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