家族性地中海熱(FMF)と、たった今診断されたばかりの方も、しばらく治療を続けている中であらためて検索した方もいらっしゃると思います。
聞き慣れない病名を告げられた直後は「なぜ自分が」という思いで頭がいっぱいになり、何から手をつければいいのか分からなくなるものです。
このブログは、2022年10月から原因不明の高熱発作を毎月繰り返すようになり、1年4ヶ月の検査期間を経て家族性地中海熱(FMF)と診断された私自身の実体験をもとに、症状の記録や医療費、公的制度のことや療養の工夫などを発信しています。
この記事では、FMFと診断されたばかりの方に向けて、
- 今の状態をどう理解すればいいか
- これから先どうなっていくのか
- 明日から具体的に何をすればいいか
- お金や制度のこと
- 一人で抱え込まなくていいということ
の5つのテーマについて整理しました。
すべてを一度に理解する必要はありません。体調の良いときに、気になるところから少しずつ読んでいただければと思います。
※本記事は筆者の実体験と一般的な情報をもとに執筆したものです。症状や治療については医療機関にご相談ください。
①「自分の状態」を知る
家族性地中海熱(FMF)とは
家族性地中海熱とは、発熱や腹痛・胸痛・関節痛などの炎症発作を繰り返す病気で、「自己炎症性疾患」の一つです。
感染症のように何かに感染して起こる病気ではなく、生まれ持った体質に近いものと考えられており、12時間から72時間ほど続く38度以上の発熱と、腹痛や胸痛、頭痛、関節痛などが周期的に繰り返されるのが特徴です。
日本では2009年の全国調査で約500名の患者がいると推定された指定難病で、地中海沿岸地域に患者が多いとされていますが、国や民族に関係なく一定数の患者がいることがわかっています。
「気のせい」「仮病」と言われる?
発作がない時期は健康な人と変わらない生活が送れることが多いため、診断がつくまでの間、周囲から「気のせいでは」や「精神的なものでは」と言われてしまうケースも少なくないようです。
実際、私自身も大学病院の先生から「熱が出るのは気持ちの問題だよ」と言われ、深く傷ついた経験があります。
検査で異常が見つからなくても、感じているつらさは本物です。
心ない言葉に傷つくこともあるかと思いますが、自分を責めることなく、落ち着いて病気と向き合っていくことが大切です。
こちらの記事では、私の症状や診断に至るまでの経緯、医療費などをまとめています↓

②これからどうなるのか、今わかっていること
薬で「コントロール」する
診断直後は「一生この発作と付き合うのか……」という不安を抱えていることと思います。
しかし、FMF治療の第一選択である「コルヒチン」を正しく継続することで、発作の頻度や重症度を抑えられる場合が多いとされています。
私が実際にコルヒチンを飲んで起こった発作の変化や、激しい副作用の体験、用量調整の過程などは以下の記事にまとめています。

コルヒチンの効果が十分に得られなかったり、下痢や腹痛などの副作用により継続できない場合には、「イラリス(カナキヌマブ)」という薬を使う選択肢もあります。
FMFの発作は、体の中の自然免疫の仕組みが過剰に働き、「IL-1β」という炎症性のたんぱく質が過剰に作られることが関係していると考えられています。
イラリスはこのIL-1βに結合してその働きを抑えるもので、いわゆる「生物学的製剤」と呼ばれるタイプの薬です。
イラリスについては、以下の記事で詳しく取り上げています。

この記事を読んでいる今、すでにコルヒチンを服用中という方も少なくないと思いますが、まだ服用されていない場合や、量の調整で悩んでいる場合は、今後の治療方針について主治医とよく相談してみてください。

寿命への影響や「完治するのか」について
診断された日の夜、「家族性地中海熱 完治」や「家族性地中海熱 寿命」などと検索したのは私だけではないと思います。
現在の医学では、病気そのものの原因を完全に取り除く根治療法はありませんが、適切な治療によって発作を抑え、発作のない状態と炎症のコントロールを維持することは可能とされています。
寿命に関わる最大の要因は発熱そのものよりも、慢性的な炎症の蓄積によって起こる「アミロイドーシス」という合併症とされており、これは次の段落で詳しく説明します。
私自身の検査データも交えて、寿命や予後について詳しくまとめた記事もありますので、あわせてご覧ください。

発作がなくても薬を飲み続ける理由
症状が落ち着いてくると、「もう薬をやめてもいいのでは」と感じる時期が来るかもしれません。
しかし、家族性地中海熱の治療の本質は、目の前の発作を抑えることだけでなく、炎症の蓄積によって将来起こりうる「AAアミロイドーシス」という合併症を防ぐことにあります。
発作がない時期の微細な炎症もこの合併症のリスクに関わるといわれているため、自己判断での中断や減量はせず、主治医の指示のもとで治療を続けることが大切です。
アミロイドーシスについてはこちらの記事で詳しくまとめています。

妊娠・出産について
女性の方にとっては、妊娠や出産への影響は特に大きな関心事だと思います。
国際的な最新の推奨(EULAR/PReS 2024)では、適切な管理のもとでの妊娠は、多くの場合問題なく経過するとされています。また、コルヒチンは妊娠中や出産、授乳期まで継続することが推奨されています。
不妊・流産・先天異常のリスクなどについて、詳しい研究データや注意点は別記事にまとめていますので、気になる方はあわせてご覧ください。

③明日からできる、3つの具体的なこと
薬を正しく続ける
コルヒチンには、服用中に食べるのを避けた方がいい食品(グレープフルーツなど)があります。
また、飲み忘れてしまった場合の対処法や、私が実践している「飲み忘れないようにするための工夫」についてもご紹介しています。


症状や体調を記録しておく
発作の頻度や体温、症状の経過を記録しておくことは、診察時に主治医へ的確に状況を伝えるための大切な資料になります。
私自身、原因不明だった時期の「異常なし」の検査結果も含めて記録を残しておいたことが、その後の診断や治療方針の判断に役立ったと感じています。
発作の記録を簡単に作れる「当ブログオリジナルの無料ツール」も公開していますので、ぜひ使ってみてください。

もしもの時のために薬のストックを考えておく
災害時や外出先でのトラブルなど、いざという時に薬が切れてしまう不安は、毎日の服薬が欠かせないFMF患者にとって大きなものだと思います。
無理のない範囲で構いませんので、外出用や自宅用(災害用)などの備蓄についても考えておくと安心です。
必要日数の考え方や、先生へのお願いの仕方などを以下の記事にまとめています。

④お金と支援制度を知る
医療費助成制度の全体像
家族性地中海熱は国の指定難病(指定難病266)のため、「特定医療費(指定難病)受給者証」を取得することで、医療費の自己負担割合や月々の自己負担上限額が軽減される制度があります。
私の場合、自己負担割合は3割から2割になり、月の自己負担上限額は20,000円に設定されています。(上限額は所得等の区分により異なります)
現在の医療費が高額でなくても、症状が悪化したり、検査や入院が必要になった場合などに「支払い上限が決まっている」という安心感そのものが、この制度の大きな価値だと感じています。
医療費の助成制度については以下の記事でまとめています。

申請の流れと、早めに動いた方がいい理由
医療費助成の申請は、お住まいの自治体の保健所や区役所の窓口などで行います。
必要な書類の一つに「臨床調査個人票」という診断書のようなものがありますが、これは「難病指定医」という資格を持つ医師でなければ、新規申請分を作成できないという決まりになっています。(更新の場合は「協力難病指定医」でも作成可能です)
この書類の作成費用は保険適用外のため全額自己負担となり、私の場合は4,400円でした。
申請から受給者証が届くまでは、私の場合は約3ヶ月程度かかりました。
その間の医療費についても、受給認定後に一定期間さかのぼって請求できる制度があります。かかりつけの病院の受付やソーシャルワーカー(MSW)さんに相談すると、必要な手続きについて詳しく教えてもらえると思います。
「まだ症状が落ち着いているから」と先延ばしにせず、早めに申請の準備を始めることをおすすめします。

⑤「一人じゃない」と知ってほしい
25万人に1人の病気
難病情報センターの記述によると、家族性地中海熱の患者は日本に約500人しかいないとされています。確率にすると約25万人に1人。この数字だけを見ると、漠然とした孤独を感じてしまうかもしれません。
ですが逆に言えば、日本のどこかに、同じ病気と向き合いながらそれぞれの生活を送っている方が約500人も存在する、ということでもあります。
不運にも自分の身に降りかかってしまったこの確率について、少し違う角度からポジティブに考えられるように書いた記事もありますので、気持ちが軽くなるきっかけになれば幸いです。

このブログについて
当ブログは「日本一詳しいFMF当事者ブログ」を目指し、症状の記録から検査、治療、制度まで、当事者目線での情報発信を続けています。
医療従事者ではなく、あくまで一人の患者としての記録ですが、同じ病気と向き合う方にとって判断材料の一つになれば嬉しく思います。
発症から診断までの経過を詳しく書いたシリーズや、FMFの基礎知識・制度などについてまとめて読みたい方は、以下のページもあわせてご覧ください。


まとめ
突然の診断に、まだ気持ちが追いついていない方も多いと思います。
今回この記事で紹介した内容は、一度に全部知ろうとする必要はありません。まずは深呼吸をして、気になるトピックを一つだけ、試しに読んでみてください。
闘う相手の正体を知ることで、漠然とした不安も少しずつ軽くなっていくはずです。
このブログが、これから同じ病気と向き合っていく方の参考になれば幸いです。
※本記事は筆者の実体験と一般的な情報をもとに執筆したものです。症状や治療については医療機関にご相談ください。


