国の指定難病である家族性地中海熱(FMF)と診断される1年4ヶ月前、私は原因不明の高熱発作を初めて経験しました。
当時はまだ病名を知らず「風邪や感染症にかかったのかも」と考えていましたが、今振り返れば、それは教科書通りとも言えるFMFの典型的な発作症状でした。
この記事では、高熱に苦しんだ発症初期から、コルヒチンの服用により高熱がほとんど出なくなった現在に至るまでを振り返り、FMFの発作の特徴を整理してみたいと思います。
※本記事は個人の体験談であり、医学的助言を目的とするものではありません。症状がある場合はできるだけ早く医療機関へご相談ください。
発作の周期
発作は発症当時から一貫して、おおよそ4〜5週間ごとに起こっています。
この「約1ヶ月」という周期は非常に厄介で、カレンダーを見るたびに「そろそろ時期的に来るかもしれない」という不安が常に付きまとい、予定を立てる際もこの周期を計算に入れざるを得ないのがFMF患者の現実です。
明確な前兆はほとんどありませんが、発作回数を重ねて自分の身体を観察する余裕ができた今では、数日前から感じる独特な筋肉の張りや、鉛のように重い倦怠感で「あ、くるかも」と察することがあります。
しかし、この「察知」ができるようになったところで、現実的に発作そのものを止める術がない以上、ただ「発作が始まるまでのカウントダウン」を眺めているような感覚で過ごすことになります。
発作の始まり方
特にコルヒチンを服用する前の発症初期は、前触れのない突然の高熱から始まっていました。
多くは夜間または早朝に、
- 強い悪寒
- 身体の震え(シバリング)
- 一気に体温が上がる感覚
から始まり、体温は短時間で39〜40℃まで上昇します。
コルヒチンの服用により現在ではここまで熱が上がることは稀ですが、それでもおよそ半年に一回程度のペースで39℃以上の高熱が出ています。
平熱が36.2℃前後の私にとって、4℃近い体温上昇は文字通り「生命の危機」を感じるほどの衝撃です。
発熱の経過パターン
コルヒチンを服用するまでの発熱の経過には、ほぼ一定の流れがありました。
- 急激な悪寒と全身の震え
- 30分〜1時間程度で高熱(39〜40℃台に到達)
- 解熱剤(ロキソニン)で一時的に37℃台まで下がるが、数時間後に再上昇
- この乱高下を2〜3日繰り返す
- 約3日で自然軽快
完全に平熱へ戻るまでには、およそ3日間かかっていました。
熱以外の症状
発作の症状は熱だけではありません。むしろ、高熱がほとんど出なくなった現在でも私を苦しめているのは、付随する多様な症状です。
- 強い全身倦怠感(トイレに行くのも億劫なほどの身体の重み)
- 股関節・膝などの関節痛(ひどい時は手足の指まで波及)
- 筋肉痛(激しい運動やトレーニングをした翌日のような痛み)
- 腹痛・下痢(お腹全体が重く腫れぼったいような、動くたびに響く鈍痛)
- 頭痛(拍動に合わせたズキズキとした痛み)
私の場合は特に関節痛と倦怠感が顕著で、発熱が落ち着いた後もしばらく残ることが多いです。
熱が下がっても、数日間は「病み上がり」という言葉では片付けられないほどの疲弊感が続き、日常生活への復帰には時間を要します。
血液検査の共通点

発作のたびに血液検査を受けると、毎回ほぼ同じ所見が出ていました。
- 炎症反応(CRP)の著しい上昇
- 白血球数(WBC)の増加
しかし、これだけでは明確な原因は見つからず、
「身体のどこかに炎症はあるが、場所も原因も不明」
という状態。
この「数値は異常なのに原因が特定できない」という宙ぶらりんな状態が、患者にとっては最も精神を削られる瞬間です。
「気のせいではない」という証拠(データ)はあるのに答えに辿り着けないもどかしさが、長い間続いていました。
血清アミロイドA蛋白(SAA)の上昇

大学病院へ紹介される直前の受診で、担当医が
「家族性地中海熱という病気があって、症状が近い気がする」
と話してくれました。
そこで初めて、通常の採血項目には入らない「血清アミロイドA蛋白(SAA)」が追加されました。
結果は基準値を大きく上回る数値。
そこで初めて、自己炎症性疾患の可能性が具体的に浮かび上がりました。
コルヒチン開始後の変化
大学病院での精密検査を経て、コルヒチンの内服を開始しました。主治医と相談しながら、副作用である下痢と戦いつつ量を調節した結果、
- 発作の周期(4〜5週間)自体は、残念ながら変わらない
- しかし、40℃近い「命を削るような高熱」はほとんど出なくなった
という状態に。
高熱は出ないものの、倦怠感や関節痛、頭痛、腹痛などは変わらず出現。
発作が辛いのは今も変わらずですが、高熱による脳や心臓への負担、そして将来的な合併症であるアミロイドーシス(全身の臓器にタンパク質が沈着する病気)など長期的な目線で考えると、高熱が出なくなったことは大きな進歩だと感じています。
コルヒチンの量を調節する過程では激しい副作用も経験しましたので、別の記事で詳しく記載しています。
まとめ
振り返ると、私の発作には以下のような共通点がありました。
当時は原因不明の発熱とされていましたが、これらは家族性地中海熱の特徴と一致していました。
原因不明の周期的発作を繰り返している方の中には、同じような経過をたどるケースもあるかもしれません。この記録が何かの参考になれば幸いです。



